大判例

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東京高等裁判所 昭和40年(行ケ)33号 判決

〔判決理由〕

(審決を取り消すべき事由の有無について)

二原告は、本件審決は、本願商標と引用商標とが称呼上類似の商標であるとした点において判断を誤つた違法がある旨主張するが、これは理由がないものといわざるをえない。すなわち、本願商標中、「エース」の文字は、わが国において、一般的には、英語の「ACE」に由来する語として、野球の主戦投手または第一級投手を意味し、あるいはトランプのエース(A)を意味する語として用いられているものであることはいうまでもないが、それが商品に付する標識として、他の語と合わせて、語頭もしくは語尾に付されて用いられたときは、「スーパー」「ゴールド」等と同様に、商品の品位、品質を表示する趣旨で、「優れた」「第一流の」等の意味をあらわす形容詞的な用法で用いられていること、ことに商品薬剤類に関してその傾向が著しいことは、周知の事実であり、成立に争いのない<証拠>によつても、その具体的事例を看取することができる。原告の主張するように、「エース」は必らず名詞でなければならないとする根拠はなく、また、原告が主張するように、「エース」を付することは新製品の販売効果を挙げることを目的とするのであり、必らずしも品質の優秀性とは関係がないと断定すべき根拠もないといわなければならない。

このように、「エース」は、商品の品質、性能そのものを表わす記述的意味を有し、それ自体としては識別力がないか、または極めて弱いものであるから、本願商標のうち、取引上自他商品の識別標識としての機能を有する部分は、「リポ」にあると認めるのが相当である。本願商標の要部は「リポ」にあり、原告の主張するように、必らずしも「リポエース」と一連不可分の一語として把握しなければならないと認めるべき証拠はない。したがつて、本願商標については、「リポエース」の称呼が生ずるとともに、その要部から、単に「リポ」の称呼をも生ずるとすることが、社会通念からみて、取引の実情に適合するものとすべきである。一方引用商標の称呼が「リポ」であることは、その構成上明白なところであるから、本願商標と引用商標とは、称呼の点で類似の商標たるを免れず、また、その指定商品が同一であること、前記のとおりであるから、本願商標は、その余の点について審究するまでもなく、商標法第四条第一項第十一号の規定に該当するものといわざるをえない。

原告は、既登録の文字商標と同一または類似の文字に「エース」の文字を結合した造語商標で、特別顕著性ありとして登録されている事例は数多くあり、中には指定商品が本願商標と同一のものもある旨主張して、その主張にそうべきいくつかの先例を書証として挙げているが、これらの審査例は、いずれも当時におけるそれぞれの具体的事情を考慮してされたものであり、また、他の事件に関する特許庁の審査例が、本件に関する当裁判所の判断を左右すべきものでないことは、いうまでもないことであるから、原告主張のような審査例の存することは、必らずしも本件審決の判断を違法とすべき根拠とはなしえないものである。

(むすび)

三以上のとおりであるから、その主張のような違法があることを理由に、本件審決の取消を求める原告の本訴請求は、理由がないものというほかはない。

よつて、本訴請求は、これを棄却する。

(三宅正雄 荒木秀一 石沢健)

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